京都で最も紅葉が美しい日本最大級の大伽藍を持つ『東福寺』に行ってみた

東福寺 紅葉

 紅葉の季節に京都市東山区にある京都で最も「もみじ」が美しく観れる古刹『東福寺』にやってきました!!

 この寺院は、鎌倉時代の嘉禎二年(1236)に摂政であった九条道家によって発願され、奈良県の「南都七大寺(なんとしちだいじ)」の内の二大寺である東大寺、興福寺から1字ずつ取って『東福寺』としたと伝わります。 

 ちなみに、この地に東福寺が建てられるよりも約300年前の平安時代中期である延長二年(924)に藤原忠平によって建てられた藤原氏の氏寺である「法性寺」の巨大な伽藍がありましたが、そこの上から造られております。 

 ※法性寺は、東福寺駅近くに小寺院として今もあります。

 そんな古刹の見所を紅葉と共にご案内致します。




▼六波羅門

六波羅門 日下門

 東福寺へは私が見た所、写真左の『六波羅門』と写真右の「日下門」他に、「月下門」の3つの入場ルートがあります。

 この何気なくある「六波羅門」は、元は六波羅探題にあったものが移築されたと云われており、重要文化財に指定されております。

 六波羅探題とは、鎌倉時代に後鳥羽上皇が鎌倉幕府を討伐しようと兵を挙げて敗れた「承久の乱」後に承久三年(1221)に朝廷の動きを監視するために設置された機関の事です。

 また、写真右の「日下門」は、他の門に比べ年代が若く江戸時代に建てられたもので、京都府指定文化財となっております。

▼経蔵

経蔵 東福寺

 「日下門」をくぐり抜けて境内に入ると右手すぐに京都府指定文化財に指定される『経蔵』があります。

 この経蔵は、江戸時代に建てられたものだそうですが、東福寺の初代の住持職である円爾(えんに)が宋に留学して持ち帰った一千余りの法典が所蔵されているとのことです。




▼山門

東福寺 三門

 国宝に指定される「三門」は、室町時代の応永十二年(1405)に建てられたものです。

一般的に「山門」と表記されますが東福寺では「三門」と記載されます。

 これは涅槃に達するための通らねばならない門とされる「空門」、「無相門」、「無作門」を指す「三解脱門」の略だそうです。

東福寺 三門扁額

三門正面の二階に掛けられる「玅雲閣」扁額は、室町幕府四代将軍・足利義持の筆によるものです。

 「妙」という字は、「女」偏が一般的ですが、「玄」偏を用い、本来の「玄」の意味である「奥深い道理」の意味を添え「妙」の意味の「真理・美しい」の意味を強化しているそうです。

東福寺 本堂

 三門は現在、保護の為に通る事が出来ないので横を通り過ぎ「本堂(仏道)」に向かいます。

 ちなみに、訪れた本日は紅葉真っ盛りの為多くの参拝客はもみじが美しい「通天橋」方面に行っており、ガラッガラに空いておりゆっくり参拝を楽しむ事が出来ました。

▼本堂(仏道)

本堂 東福寺

 「東福寺」は、明治十四年(1881)にも大火があり、この本堂を含め主要な伽羅の大半が焼失してしまっております。

東福寺本堂 裏

 その為、この本堂は大正六年(1917)から工事を開始し、昭和九年(1934)に再建されたものです。

東福寺 本尊

 現在の本尊である釈迦三尊像は、明治十四年の火災後に近くの万寿寺から移されたもので、鎌倉時代の作との事です。




▼禅堂

東福寺 禅堂

 「本堂」を参拝後、「通天橋」方面に向かう途中に重要文化財に指定されている『禅堂』があります。

 この東福寺の「禅堂」は、室町時代初期・南北朝時代である貞和三年(1347)に再建されたもので現存する最大・最古の禅堂です。

 明治十四年の大火後、暫く東福寺の仮の本堂として使われたそうです。

▼秋の通天橋

東福寺 紅葉 東福寺 チケット

 本堂や三門は、外からであれば拝観料無料で観る事が出来ますが、『通天橋』や「本坊庭園」は拝観料各大人400円/子供300円が必要となります。

 紅葉を観に来た僕は、当然両方合計800円をお支払いし、入場します!

拝観時間

拝観時間 受付終了 閉門
4月~10月末 9:00~16:00 16:30
11月~12月 8:30~16:00 16:30
12月~3月末 9:00~15:30 16:00

東福寺 紅葉

 通天橋の受付を通ると直ぐに真っ赤な絨毯の空間が広がっておりました。

東福寺 渡り廊下

 通天橋へと続く渡り廊下を歩き進みますが、午前から午後にかけ凄まじい観光客でゆっくりと観光が難しくなってしまうので、朝一番のオープンに行く事をおススメします。

東福寺 紅葉

 頑張って撮影しておりましたが、光量が足りないのでエフェクトで色を強調しご覧いただきます。

東福寺 紅葉

 人混み(私もその一人)さえ無ければ、この素晴らしい絶景に見とれてしまいますが、何分の人混みですのでゆっくりと観ようものなら後ろから押されてしまいますので、裸眼でガン見&高速シャッターで見つつ、撮りつつ進みます。

東福寺 橋 紅葉

▼通天橋

 室町時代の天授六年(1380)に仏殿から常楽庵に至る渓谷を渡るのに苦労していた僧を救うために架けられたという橋です。

 昭和三四年の台風で崩壊してしまった為に再建されております。

東福寺 六角堂

▼三聖寺愛染堂

 境内の「月下門」側にある朱色が美しい八角形の『愛染堂』があります。

 この重要文化財に指定される八角円堂は、もとは万寿寺にあった南北朝時代の建築物で、昭和9年に起きた室戸台風で倒壊し現在の場所に移築されました。

 堂内には愛染明王が祀られております。

東福寺 渡り廊下

 通天橋の渡り廊下を通り、「開山堂」へと進みます。

東福寺 紅葉

 このエリアからは、紅葉越しに「本堂」、「三門」を望むことが出来る絶景エリアでもあります。

東福寺 紅葉 開山堂

▼開山堂(常楽庵)

 通店橋を渡った先にある『開山堂(常楽庵)』は、幕末の文政六年(1823年)に再建された2階建の楼閣で、東福寺の開山・円爾像を安置しております。

東福寺 紅葉 御堂

 上層の目を惹く構造は「伝衣閣(でんねかく)」と呼ばれ、金閣、銀閣、飛雲閣、呑湖閣と並ぶ「京の五閣」の一つです。

 内部には中央に阿弥陀、右に薬師、左に布袋像を祀られております。

東福寺 境内

 順路を戻り「本坊庭園」へと向かいます。




▼国指定名勝 東福寺本坊庭園

東福寺 方丈南庭

 「方丈」、「庫裏」と続く枯山水庭園を拝観できる『東福寺本坊庭園』へやってきました。

 方丈とは、元々は禅宗寺院における僧侶の簡易住居(簡単に造れて、簡単に解体できる)でしたが、後には応接間の役割がメインに使われております。

 ここでは、鎌倉期庭園の質実剛健な風格に、近代芸術の抽象的構成をとり入れた枯山水庭園を楽しむ事が出来ます。

東福寺 方丈南庭 チケット

 ここも拝観料大人400円/子供300円が必要となります。

拝観時間

拝観時間 受付終了 閉門
4月~10月末 9:00~16:00 16:30
11月~12月 8:30~16:00 16:30
12月~3月末 9:00~15:30 16:00

東福寺 北斗七星

▼方丈東庭

この方丈東庭で観られる枯山水は、石の配置を観ると北斗七星に置かれております。

 気づくとちょっと庭師の楽しい遊び心です。

東福寺 堂内

 この「東福寺本坊庭園」は、明治十四年の火災により仏殿、法堂等の主要伽羅とともに焼失しましたが、昭憲皇太后より下賜され明治二三年に再建されました。
 
 広大な方丈には東西南北に四庭が配され、「八相成道」に因んで「八相の庭」と称されております。

市松模様

▼方丈北庭

 方丈北庭には、大人の雑誌(やらしいやつじゃなく、インテリジェントな方)等でも度々見受けられる「市松模様」が美しい庭園を観る事が出来ます。

方丈西庭

▼方丈西庭

 西庭でも市松模様が用いられております。

東福寺 庭園

▼方丈南庭と唐門

 見事な枯山水と唐門が見られる「方丈南庭」です。

 この枯山水では、古代中国で四仙島(仙人が住む島)と言われた蓬莱、方丈、瀛洲、壺梁を表現しております。

 ちなみに、この内「瀛洲」は日本を指すと云われており、紀元前221年に秦の始皇帝に仕えた方士(祈る人)徐福が勅命にて不老不死の秘薬を求め、仙人への莫大な貢物と共に日本に渡るも帰らず、皇帝を騙した稀代の詐欺師として今日に伝わります。
 ※和歌山には、徐福の墓があるそうです。

東福寺 勅使門

 「方丈」、「庫裏」と共に、恩賜された唐門(勅使門)は、見事な彫刻細工が施されております。




▼偃月橋

偃月橋(えんげつきょう)

 「本坊庭園」を出た後、境内の端にある『偃月橋(えんげつきょう)』を観にやってきました。

偃月橋(えんげつきょう)

 江戸時代が始まって3年後の1603年に再建された「偃月橋」は、重要文化財に指定され、日本百名橋にも選ばれております。

竜吟庵 橋 紅葉

 橋から観た三ノ橋渓谷も紅葉が美しく見ごたえがありました。

 ちなみに、この橋は無料で観る事が出来ます。

龍吟庵

 橋を渡ったすぐにある『龍吟庵』は、普段は非公開になっておりますが毎年11月に公開されているそうで、室町時代初期に建造された国宝に指定されている最古の方丈が観られるそうです。




▼御朱印

東福寺 御朱印

 最後に、スタンプラリー感覚で御朱印を頂き、寺を後に致しました。

 以上で、京都で最も紅葉が美しい日本最大級の大伽藍を持つ『東福寺』のご案内となります。

 刻々と変わる紅葉の絶景を観に皆様も訪れてみては如何でしょうか。

 御精読有難うございました。




▼アクセス

住所:605-0981 京都府京都市東山区15丁目本町804